「思うんだけどさ、ボクも相当だと自覚あるけど、ハルシャもなんだかんだでめちゃくちゃだよね♣」

「ヒソカに言われるようになったら終りだわー」


結局イタチを無理矢理拉致したあの日は、夜遅かったこともあってそのままお互い自分の宿に戻った。・・・・・といっても実はイタチも泊まっていた場所が同じだったようで帰るのにそう時間はかからなかったから、身体的な負担はそうないだろう。
次の日になって、とりあえず天空闘技場で待ち合わせをしていたところにまずはじめに来たのはヒソカでハルシャはげんなりとしたが、昨日ヒソカと別れた後のことを聞かれたのでぱっぱと答えてしまう。そしてそれに対するヒソカの反応が冒頭のそれである。
ハルシャはポケットに手を突っ込んで、中で巻物をいじくっている。


「で、今日は一体どうするんだい♥」

「とりあえず、私はまず試合しないといけないし、イタチもそうだから午前中は試合。で私はイタチに動きを見てもらって午後から私が念の使い方を教えてあげる感じ。イタチには今日の試合は絶対目を使わないように言ってあるし」


多分それでひとまずは大丈夫だと思う、とハルシャは言って人ごみの中にイタチを見つけたのか手を挙げる。
イタチはハルシャのところまで来て、隣にヒソカがいるのを見てあからさまに嫌な顔をした。
黒い瞳も、さらさらと流れ落ちるような黒い髪も全部イルミと似ているが、表情はイタチの方が遥かに豊かだ・・・・・と言ってもイルミと比べればの話であって一般人からすればイタチも表情はない方なのかもしれない。
イタチとハルシャはその後天空闘技場での用事を済ませ、それから一旦宿に戻ることにした。どの道まずはイタチの念を制御できるようにするのが先である。そこになぜヒソカがついてくるのかが謎だったが、邪魔をしないならまぁいいだろう。
昼間の太陽はちょうど空の真上にあって、部屋の中に直接差し込む光は少ない。
ハルシャはイタチと向き合ってそれから簡単にまずは念の修行について説明した。ヒソカは器用にベッドの上でトランプタワーを作成中である。


「まずそもそも念を使えるようになるにはオーラの制御が必要。そのためにまず四大行をマスターしてもらうから。これが出来ない限りは目を使うの禁止」


並ぶと意外と身長のあるイタチの背中側に回ってハルシャは背中に手を置いた。


「これから私が無理矢理イタチの精孔をこじ開けるから。これをやると体中からオーラがあふれ出すと思うけどそれを上手いこと体に留めてね。それじゃ__」

「待て、その留めるというのはどうすればいい」

「え・・・・・・」


ハルシャはイタチに聞かれて思わず背中から手を離した。考えてみれば纏のやり方を覚えたのは随分と昔のことで、最早それが習慣となってしまっている今ではどうやってオーラを体に留めるのかなどという基礎はすっかり忘れてしまっている。


「やればわかるよ♦」

「あ、ちょっ」


一瞬悩んで動きを止めたハルシャの間に突然割り込んで、イタチの背中に手を当てたのは先ほどまでトランプタワーを作っていたヒソカであった。
ヒソカがわざわざこうやって修行の手伝いをすることなどなかろうと思っていたので油断していた。慌ててハルシャがヒソカの手を払いのけようとするが、よれよりも早くヒソカのオーラがイタチに送り込まれ、イタチの精孔は完全に開ききった状態になってしまう。


「ッ!!」

「何とかしてみなよ、イタチ♠纏が出来なければそのまま死ぬ、死んだらキミはそれだけの人間だったってことだね♣」


残念だけど仕方ない♥と笑うヒソカは、彼本人の興味の赴くままに動いているのだろう。ハルシャはため息をついて、しかしここまで来たらどうしようもないのでぽん、とイタチの肩に手を置く。


「ごめん、頑張って」

「おい__!!」


明らかに怒りでオーラの量が増えた。そのことを身振りで教えてあげれば、イタチも慌てて心を落ち着かせたようだ。
そしてイタチが精孔を開ききり、オーラが体中からあふれ出す状態になってから約30分。


「・・・・あのさヒソカ」

「なんだいハルシャ♥」

「イタチ・・・・死ぬんじゃない?」

「そうだね♣」

「おいっ・・・・勝手に・・・人を殺すな・・・!」

「元気そうだけど、そろそろげんか__」


ハルシャがそういいかけた途端、イタチの目から光がなくなってふらりと体が傾ぐとそのまま床に倒れこんだ。ドサッと重い音が部屋に響いて、ハルシャはヒソカと目を合わせた。


「まずい」


今だ垂れ流しになっているオーラはじわりじわりとその量を減らしていて、そろそろイタチの限界であろうことが予想された。慌ててハルシャは首筋に触れると脈もゆっくりとだがその勢いを失いつつあるようだ。


「いっそ人傀儡にしたらどうだい♣ボク、キミが傀儡を造る過程を見てみたいんだけど♥」

「あー・・・・・・・・


途切れ行く意識の中でイタチの耳に最後に聞こえてきたその言葉は、ひどく物騒なものだったが怒ろうにも最早その力すらなく、イタチはゆっくりと意識を闇の中に沈めた。






2013/01/27

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