ハルシャとキルアはその後暇な時間を適当に話したり、また先ほどのゲームをしたりして潰しついに第四次試験終了の時刻となった。二人が海岸線に向かうとすでに集まっていた受験生がこちらを向くが、さほど興味はなさそうだ。
レオリオ、クラピカ、そしてゴンの三人もすでにスタート地点に集まっていて
ハルシャはキルアを三人のもとへ送り出すと、一人ギタラクルに近づく。
〈ねぇ〉
〈なんだい〉
〈キルアってイルの弟なんだって?〉
今さら、と言った表情をしたんだと思うが、ギタラクルの状態のイルミは顔面が針だらけの上カタカタと何故か小刻みに揺れているためはっきりとした表情はわからない。ただそうだよ、という口調から
ハルシャはそう感じた。
〈もしかしてイルがその格好なのってキルアに自分だってバレないようにするため?〉
〈そうだけど〉
〈普通に会えばいいじゃない〉
〈だってオレの姿をみたらキルは逃げるし〉
正直ギタラクルの姿でもキルアに近づいたら十分逃げられる要素が満載だと思ったのだが、そのことについて深く言及するのはやめてやった。
〈キルアはなんか連れ戻されるとか何とか言ってたけど・・・・〉
〈飛行船が来た〉
イルミが扮したギタラクルはそう言ってカタカタカタ・・・・と音を鳴らしながら立ち上がって
ハルシャの横を通り過ぎていく。見ればまだ飛行船は遠い。大方キルアの視線がこちらに向いたことに気付いて話を切り上げたのだろう。
ゾルディック家のよくわからない事情に首を傾げながら先ほどまでギタラクルが座っていた岩に腰を下ろして、飛行船の到着を待った。
風は強くなく飛行船の航行もまた順調。
本当はキルアたちのところで無駄話に興じてもいいのだが、ゴンは何か悩んでいる様子だったから自分が行くよりもクラピカやキルアやレオリオに任せた方がいいのかもしれないと思い、あえて四人に近づかないことにした。
一人飛行船の中を歩いていると何人かの受験生とすれ違ったが、彼らは
ハルシャに怪訝そうな視線だけ向けて歩き去っていく。大方、なぜこんな女が残っているのだろうとでも思っているに違いない。接近戦だけで言わせてもらえば見た目相応の弱さではあるが、それ以外のことに関して負けるつもりは一切ない。
最終試験がどのようなものにせよ、
ハルシャをやすやすと倒せる人間はこの飛行船内でもかなり少ないであろう。
『受験番号85番、85番の方お越し下さい』
今回は番号順に呼び出されているようなので、若さで行くと3番目の
ハルシャは比較的早い呼び出しだった。そう長いことかかる面接ではないのだろうか、と思いながら
ハルシャは面接会場となっている二階の応接室へ向かう。
「85番です。入ります」
そもそもこの面接が合否に直接関わることなのか知らないが、一応第一印象は重要だろうと重いながらノックして部屋に入った。中ではハンター協会会長のネテロがただ一人座っているだけで、緊張感といったものもない。
「座りなされ」
ネテロの指示するままに
ハルシャは座布団の上に座ったが、いまいち座り方が分からなかったのでネテロからすれば少々面白い座り方になっていたかもしれない。
「ふむそれじゃまずおぬしのハンター志望動機を聞こうかの」
「志望・・・ってこれ最終試験と何か関係が?」
「全くないとは言わんがまぁ参考にする程度じゃ」
ここはどう答えるべきなのだろうと
ハルシャは一瞬迷った。正直に答えてそれがどのような印象を与えるかよくわからないが、かといって誤魔化せるような理由も見つからない。あまり積極性のない理由だが、ここは素直に答えておくことにしようと思う。
「・・・・父さんに言われたから」
「ふむ」
「急に今回のハンター試験を受けろってことで、置いてけぼりにされたから。でももしかしたらハンターしか行けないようなところに行くのかもしれないから、父さんを追いかけるために取ってるけど・・・・」
「ということはおぬしの父親もハンターか」
「まぁ、そういうこと」
ハルシャの視線が若干泳いだことに気付いたのだろうネテロはさらに深く追求する。
「ちなみに父親の名は?」
「・・・・」
「別におぬしの父が犯罪者だったからと言っておぬしの合否に関係することはない」
ネテロはなんとなく
ハルシャの沈黙からいえない理由と言うものを察したのだろう。彼女が黙秘権を施行するよりも早く、ネテロが合否と父の関係はないことを言ってしまったため
ハルシャも言わざる得ない雰囲気を作り出す。
「・・・・・サソリ」
「・・・・赤砂のサソリか。それは驚いた。まさかサソリに娘がいるとは思ってなかった」
「拾い子よ」
「それでも、じゃな。相変わらず人傀儡でも作っているか」
「うん」
サソリがハンター資格を得たのが第何期なのか
ハルシャもよく知らなかったが、ネテロはサソリと面識があるようで懐かしさ半分手を焼かされた苦い記憶が半分といったような表情で、サソリのことを少しだけ語る。
「まあよい。それでは次にお主が注目している受験生は?」
「注目?んー・・・単純に興味があるならクラピカ・・・あ、404番。なんとなく昔にあったことがある気がするのよね。でも注目ならやっぱり44番ヒソカ。でも99番も伸び代すごそう」
「それならば戦いたくない相手は」
なんとなく嫌な予感がした。あえて戦ってみたい相手を聞くならともかくこう聞く、ということはもしかして直接その相手とぶつける、ということではないか。だが嘘をつくのも面倒だ。
「・・・・・44番、あと301番」
「ふむ。下がって良いぞ」
ネテロの言葉に立ち上がり応接室の扉に手をかけた
ハルシャだったが、追いかけるようにして「サソリにあったらもう少し遠慮しろ、と伝えてくれ」と言葉が飛んできて
ハルシャは「はーい」と気の抜けた返事をしたのだった。遠慮、というのはつまり気に入ったハンターを片端から殺すな、ということなのだろう。
「あれ、そっか。
ハルシャって85だからオレが次なんだな。どんな話された?」
「えー・・・なんか色々聞かれたけど別に内面を審査するようなもんじゃないみたい」
「ふーん」
ま、頑張れと適当な応援をしてキルアを部屋の中に押し込む。
さて、最終試験まであとどれくらい時間がかかるのだろうか。
2013/01/06
S.D.Sランキング参加中
