No.58
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#花紅葉 #ワカ #サソリ #小南
革って保湿のオイル塗るとすごい良くなるよね→もしかして人の生皮の傀儡も保湿するんじゃ……?→サソリって化粧水にめちゃくちゃ詳しいのかもしれないという話
革は生き物である、とよく言ったものである。もとより生物より切り出されたそれは、適切な管理をすることでその美しさを保ったまま長く使い続けることができる。しなやかで頑丈なそれは、日常生活の中に深く入り込み、私たちもまたよく目にするだろう。
革の管理は適度な乾湿、油を塗り込むことによる表面保護となる。他にもさまざまな手順はあるものの、ひとまずはこのあたりを押さえていくことになるだろう。
さて、この話が何に繋がるのかといえば、今まさにサソリが部屋で行っている作業そのものが、まさに革の保護と汚れ落としであった。ただしその革は動物のものではない。人の生の皮膚であった。
人傀儡は生身の人間から作られる。臓腑の殆どは抜き取るが、それが有用であればある程度形を保ったまま保管された。臓腑の中に虫を飼っていたり、あるいは固有の術が臓腑を由来とする場合にこの方法が用いられる。皮膚は綺麗に剝いで適切な管理をし、完成した傀儡の表面を覆うことになる。
余談であるが人傀儡作成の過程はデイダラもペインですらも目を逸らしたものだった。全行程を目にした訳では無いが、人をただ殺すのとは全く訳が違う、そこにあるのはもう一度人を作り直す工程である。デイダラはそれを「趣味が合わねぇ」と評し、ペインはそれを「あまりにもおぞましい」と評した。その言葉の意味を正確に理解できないのは唯一サソリ本人のみだ。
話が戻るが、傀儡は生皮であるから、乾燥やカビに弱い。常にしまっておくわけにもいかず、サソリは約三百体の傀儡を代わる代わる表に吊るしては手入れを行っていた。通常の傀儡作りだけでなく、手入れ、仕込みの確認、毒の調合など彼は常に手を動かしている。拠点に構えている時はサソリは基本的に部屋にこもりっぱなしなのだった。
傀儡の肌の手入れでも保湿は重要であった。女がよく使うような保湿剤を定期的に塗り込んでより良い状態を保つ、という意味で傀儡の管理は金と時間がかかる。しかしそのおかげでサソリはそこらの女よりもはるかに皮膚を美しく保つことについて詳しい。厳密に言えば死体が専門であるが、皮膚であればおよそ対処の仕方を知っていた。
サソリとデイダラ、そしてワカが生活する拠点は各国に分散しながらいくつもあった。時には仮の拠点として廃墟を利用するような時もある。やはり人目を避けるので森の奥、あるいは砂漠の果てに多かった。
ここは砂漠の岩山の合間、かつては小さな一族が住んでいたようだがとうに滅びている。砂隠れの地図にも載らない砂漠の果てに、サソリは居を構える。肌を突く砂が吹き荒れるので、窓はほんのわずかな小さなものしかない。
リビングとして使う場所も特段整理が行き届いているわけではなかった。適度に生活できるようにはしてあるものの、サソリもデイダラも綺麗でなければ生きていけないような繊細さは持ち合わせていない。多少机が砂でざらついていようと軽く手で払う、床に石材が転がったままでも気にしない。そんな場所だ。
小南はここを訪れるたびに男たちの乱雑な生活に呆れている。雨隠れの実質的な里長であるペインの拠点と比べれば、ここは確かに汚いが比べられても困るというのがデイダラの言だった。
小南は時折こうしてサソリとデイダラの拠点を訪れてはワカと話をしにくる。暁のメンバーの中では珍しい女性であることや、ワカのことを幼い頃から知っていることもあり妹のようにも思っているようだ。来るたびになにか不足はないか、と聞くがワカにとってサソリがいれば不足などあるはずもなかった。
「肌が荒れてるわね」
小南の白い手がワカの頬を撫でた。さすがにこの乾燥する砂の世界の中ではワカの肌もひどく乾燥している。突っ張るような感覚とカサつきが小南の指先から伝わってきて、小南は少し顔をしかめた。
「痛くはないかしら」
「はい、痛みはありません」
「そう、でもせっかく綺麗な肌なのだから少し手入れをしましょう。特にここは乾燥しすぎよ」
小南はそう言ってワカの手を引いた。
「サソリ」
小南が向かったのはサソリの部屋である。ワカを連れて町へ降りたいと伝えるためだ。
サソリは部屋の奥の机に向かって座り、傀儡をいじっている。
「ワカの肌がひどく荒れてるの。少し化粧道具と合わせて保湿するものを買ってきたいわ。しばらくワカを連れて行ってもいいかしら」
「……ワカ、来い」
「もう少し優しく声をかけなさい」
「……」
サソリは何も言わない。実のところサソリは小南が苦手である。もとより年上の女性が苦手な上、特に小南は暁へ入る際に負かされたことも影響している。なにせ紙になられると砂鉄以上に傀儡ではやりにくい相手だ。三代目風影は本体が砂になって崩れないという意味ではやりやすい相手だった。
ワカはすぐにサソリのそばに寄ると隣にしゃがみ込んだ。
「……確かに乾燥しているな。下手な保湿剤よりもこっちの方がいい」
サソリはそう言うと机の上に置いてあった小瓶の一つを手に取った。
「それはなに?」
「植物から抽出した油だ。悪いもんじゃねぇ」
「いいえ、そういうことを聞いているわけではないわ。見間違えじゃなければあなた、それを傀儡に使っていなかった?」
「保湿をするんだ、死んでようが生きてようが変わらん」
「サソリ」
「……なんだ、変わらんだろう」
「サソリ」
「…………」
サソリは小南の圧に負けて小瓶の中身を手に出したまま眉を寄せた。小南はジッとサソリを見ている。
「ぶっ」
サソリは結局左手に出した植物のオイル(と本人は呼んでいる)をワカの顔に叩きつけるようにぶちまけたので、ワカは突然のオイルに潰れたような声を出す羽目になった。
「悪いもんじゃねぇよ」
サソリの言葉は少し言い訳じみていた。畳む