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No.52

連載先取り

花紅葉 情報収集5

 C2ドラゴンがさらに楼の最上階を破壊し飛び出す。サソリはとっさに殺意が向けられているのを察し、己も楼の屋根に上った。戦場において上を取られることは不利だ。サソリはそれをよく知っている。デイダラと戦うならば必然的にサソリは常に不利に敷かれるが、それでも爆弾を使う相手に建物の合間に居座れば崩落にも巻き込まれない。
 サソリは即座に三代目風影を口寄せし、砂鉄を出した。C2ドラゴンはすでに爆弾の生成を終えている。重ねて吐き出される誘導弾が恐ろしい速度でサソリに迫る。あれは、相当な速度か時空間移動忍術がなければ回避で力を浪費するだけだ。サソリは砂鉄でそれを防いだ。薄い砂鉄の壁では砂鉄が破裂して大きく周囲に飛び散るほどの威力だ。直撃を食らえば傀儡は粉々になる。
 常に砂鉄を周囲に散らして、その砂鉄の移動を磁場で感知する。
 C2ドラゴンは作るのに時間がかかるが、その一方、一度作れれば術者は常に制空権を持ち、手で練るよりも早く高威力の爆弾を、高速で発射できる利点がある。ドラゴンの尾が尽きるまでという制限はあるものの、サソリはあの尾が半分以下になったのを見たことがない。それは尾が半分を切る前に相手を制圧できることを意味している。
「デイダラ! てめぇ何しやがる!」
「うるせェ! オイラを利用しやがったな!」
「な、んの話だ!?」
 サソリは困惑を含んだ声で返すが、デイダラはそのすべてを無視した。あるいは気づけないほど頭に血が上っている。怒りは術の制度を乱すはずだが、恐ろしいことにデイダラは相当怒っているはずだというのに、その観察眼は見事なものだった。
 砂鉄で足場を作りながら爆弾を破壊し、あるいは砂鉄で防ぎデイダラに迫ろうとするものの、一度上空へ上ったデイダラを落とす手段はそうそうない。加えてデイダラはC2ドラゴンによる爆撃でサソリを一方的に攻撃できる。
 サソリは今までここまでデイダラを怒らせたことはなかった。リーダーがデイダラを暁に勧誘すると言い出した時はなぜこんなガキを、とも思ったが、なるほどこの術はあまりにも便利だ。物質にチャクラを練りこむ、ただそれだけだが、デイダラの発想と加わるとこの上ない厄介な武器になる。彼の爆発へのこだわりが明瞭な殺意に乗ると、おぞましいほどの殺りく兵器になる。
 サソリにとってこの楼閣を壊すことは情報収集源を失うことであったので、大技を使いきれないのも不利な点であった。砂鉄界放はあまりにもランダムだ。術者以外を保護するのが非常に難しいため、全員を皆殺しにしてもいい状況じゃなければ使い難い。かといって細かく砂鉄を飛ばしすぎれば防御が薄れ、細かすぎる砂鉄の刃はドラゴンの速度に追いつけない。あれは土遁をベースとした術であるから、雷遁を持つ傀儡にするべきなのだが、サソリの保有する雷遁の傀儡は防御面が薄い。また感知能力も低いためデイダラがまき散らしている細かな爆弾に対して対処が遅くなりやすい。せめてヒルコをまとっていればとも思うが、これもこの状況では難しい。足場が悪いとヒルコはその装甲の重さから安定性を失いやすい。
 要するにこの戦場はサソリが圧倒的に不利だった。砂鉄さえ大きく動かせるのならばいくらでもやりようがあるが、楼閣を傷つけぬ形での防戦を強いられている。
(少し傀儡を変えるか……)
 サソリは防戦を強いられながら、この原因を探る。デイダラとワカ、マツを残してサソリは傀儡の工房へ向かった。サソリがマツに対して命令したのは「デイダラを見定めろ」という点のみである。あれがどの程度ワカに関心があるか、量らせるためにマツを使った。となれば、マツかワカを起点にあれは怒りを発している可能性が高い。
 誘導弾がサソリに迫る。崩壊した楼の屋根の隙間からワカがこちらを見ているのが見える。
 サソリはいくつかの利害の差し引きをとっさに行い、叫んだ。
「ワカ! 盾になれ!」
 ワカはその言葉に反応して逆口寄せでサソリのところへ飛ぶとそのまま誘導弾めがけて飛び出した。そして誘導弾をそのまま体で受けて自らの体で抱き込む。
 その瞬間にデイダラの反応が鈍り、誘導弾は起爆することがなかった。サソリの判断はどうやら正解だったらしい、これはワカを起点にした怒りだ。しかもワカを中心にしたサソリへの怒りである。あれはどうやらワカごとオレを殺したいわけではないようだ、とまで考えながら、三代目の砂鉄はデイダラをとらえた。この辺りの判断と決断が少しばかり甘いところがまだガキだなとサソリは思いながら、砂鉄の檻の中に閉じ込めてしまう。
 崩落した遊郭の中でたいそうな人が騒いでいる。これ以上目立つ前に、とサソリは暁のコートを脱いで壊れた壁の中から建物の中へと身を滑らせた。デイダラも合わせて連れていく。C2ドラゴンは適当なところに投げ落とした。畳む

#デイダラ#ワカ#サソリ#花紅葉

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