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No.13

SS

ガンダルヴァー村へ来たばかりの日の夜のこと

ガンダルヴァー村って結構人が出ていくことも多いのかなぁって思うのでそこそこ空き家もあるんじゃないでしょうかってところから派生した話。

 ティナリと蒼月がガンダルヴァ村にやってきたのは教令院を卒業してすぐのことだった。それより以前からレンジャー所属のための様々な書類の提出などがあったが、その他にも教令院に残らないかと勧誘する教師陣とのいざこざも多数あったのだ。元より耳が並外れて良くスメールシティにいることをあまり好まないティナリはそういった様々な出来事を合わせてすっかり疲れて教令院から解放されたその日にはすでにガンダルヴァ村にいた。他のレンジャーたちはこんなにも早くやってくるとはと驚いていたが、ティナリにとってはガンダルヴァ村の環境の方が圧倒的に好ましかった。
 ガンダルヴァ村にやってきてまず必要なことは他のレンジャーたちへの挨拶ではなく、その日、寝る場所の確保であった。スメールシティからガンダルヴァ村まで来た時点で、時刻は夕方になっており夜はすぐそこに迫っていた。さらに森の夜なので暗く、灯りが整備されていない場所は月明かりも入らずほとんど見ることができない。蒼月は一応夜間作業用の集光眼鏡という物を持っておりティナリも夜目はそれなりに効く方だ。なんとかならないわけではなかったが、それでも疲れ切った体にはある程度安全な寝床が必要だった。
 レンジャーの仕事には夜も昼もない。そのため蒼月が様々なところで聞き込みをした結果、一件廃墟になっている家があるということを教えてもらった。昔はそこに老人が住んでいたのだが、彼は病気で亡くなってしまったらしい。それ以降は誰も住んでいないとのことだった。早速ティナリと蒼月はその家を今後使用させてもらうことにし、ひとまずは足を運ぶ。
「うーん」
「そのご老人が亡くなったのって本当に最近?」
 ティナリがいぶかし気に聞くと「ちょっと聞いた人も年がかなり上だったから怪しい、かも」と蒼月は少し目をそらして答える。見事な廃墟であった。数年前まで人が住んでいたというより百年ほど放置されたように自然に半分飲み込まれかけている。
 ドアはティナリが取っ手を握ったところでばたんと中に倒れてしまった。仕方ないのでそのまま足を踏み込めば暗がりに一つだけベッドが置いてある。その他の物はほとんどなく古びたテーブルが一つだけ部屋の隅に置いてあった。
「蒼月、使いなよ」
「私木の上で寝るの慣れてるからそっちで大丈夫だよ」
「僕も土の上で寝るのは慣れているから」
 しばし押し問答を続けた結果、疲れていた二人が出した結論は二人で寝る、であった。幼い頃のように埃と土の匂いのするベッドに二人で横になると、その日の疲れもあって二人はすぐ眠りに落ちた。
 しかしながら次の日、昔よりもずっと背の高くなったこの状態で一つのベッドで寝るというのは非常に困難があると理解した二人は、すぐに家とベッドの改造をしたのだとか。
畳む


2022/8/29執筆
この作中だとガンダルヴァー村の表記が「ガンダルヴァ村」になってますが、これはちょっとした記念と思い出です。原神v3.0発表当初はガンダルヴァ村、マハールッカデヴァタが文章表記でした。(発音はガンダルヴァーとマハールッカデヴァータでした)これはv3.0当時に書いたものなので、せっかくだしと思って表記をそのままにしてあります。
こういった作品を読みますと当時書かれたものであることがわかって何となくいろいろと思い出すものがありますね。
#ティナリ #蒼月

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