その日の夕飯で、国立博物館が襲撃された、という衝撃的なニュースを見ながら、わたしはぽつりと「犯罪者は、犯罪者だよね」と呟いた。ばあちゃんはその一言で全てを察したらしい。一瞬にこぉと笑ってから肩を落とした。ばあちゃん、待って今のわたしの一言で一体何を理解したというの、とんでもない誤解をしてるんじゃないかなねぇばあちゃん?ばあちゃんは「やっぱりそうなのかい」とわたしと同じ髪色をしたばあちゃんが言った。父さんもばあちゃんと同じ髪色だったらしい。

「犯罪者は犯罪者だ。迷惑をかけていることを許容できるわけじゃあない。ましてやそれが人を殺すとなればなおさらだ」

じいちゃんははっきりと言い切った。でも少しだけ視線を落としてから「とはいえ人の縁は難しい」と続けた。

「お前には何も言ってなかったが、ワシとアマンダはブラックリストハンターをしていた。だがな、ワシらが所在を知りつつも見逃した男がいる」
「えっ?」
「ワシの友人だった。だがそいつの妻が死に、娘が殺されてから頭をおかしくしてな、人を殺して娘を蘇らせようなんて馬鹿なことを考え始めた。あれのしたことは犯罪だ。許されることではない。あれの身勝手で殺された娘の親はどうなる。だがなそうはわかっていても、ワシはそいつを捕まえることができなかった」

じいちゃんはぽつりとそう言って、口をつぐんだ。わたしはずっと平穏な世界にいたから、そんな怖いことが身近にあるなんて考えられなくて、ご飯が喉をうまく通らない。水を一口含んで、無理やり流し込んだ。

「結局そいつとは縁を切った。これ以上はあいつのそばにいたらワシはあいつを捕まえなくちゃなんねぇ。だがワシも身勝手な話じゃが、ワシは自分の手で友人を捕まえることを躊躇った。今ならできるがな。ワシも昔は若かった」
レンリ。絶対に忘れちゃいけないのは犯罪は悪いことだってことよ。誰かを殺していいなんて思わないでおくれ」
「うん、それは__」
「その上であの男と付き合うなら__」
「あの待ってばあちゃんばあちゃん。すごい勘違いしてるよ?あのね別にわたしフィンクスとは__」
「あの餓鬼ィ!!!!!フィンクスっちゅうんか!!!!!」

あっ、わたしやっぱり馬鹿かもしれないなぁ、なんて思うのはいつも何かを口にした後なのだ。
激昂したじいちゃんが、いつの間にか取り出した散弾銃をもって今すぐにでも国立博物館に向かおうとしたので、ばあちゃんとわたしはそれを止めるのにひどく苦労した。

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2014/04/09