「ハーイ!ということでマイアス勝利記念特大号、そんなわけで「あの人に聞こう」のコーナーも拡大してお送りしまーーす!!」
「・・・・ミィ、それは一体誰に向けて言っているんだ?」
「んん?まぁまぁ説明から入らないと何が起こるかわからないしね?ちゃんとボイスレコーダーに録音してあるから、十年後とかに聞いても何の目的のものかわかるでしょ?」
「む、まぁ確かにそうだな」
「というわけで!今回のテーマ『戦場の華』の四人目に突撃取材です!!シャンテ先輩、ダルシェナ先輩、ネルア先輩に引き続く人はこの方!マイアス戦後より、ツェルニに短期留学、現在は第五小隊に所属する
イェルチェ
・ハーデンさんです!同い年だし、来てすぐ仲良くなっちゃったし、正直今までの取材の中で一番心が軽いっていうか、楽っていうか?!」
「ま、確かにそうだな」
「そうそう、本当はこの取材私の仕事なんだけど、テーマが『戦場の華』ってことで武芸者がメインの取材でしょ?一般教養科の私にはわからないこともあると思うので幼馴染のナッキにもきてもらってまーす!!・・・・っとこんな前置きでいいかな?」
「いい、かな?」
「わお!
イェル
、その首かしげは男を悩殺できるから今度是非レイとんでやってみて!」
「ええ?それはちょっと・・・・」
「っとそれはともかくよね!取材の方を始めまーす!
イェル
は圧倒的に男性からの質問が圧倒的だったのですが、中には女性の私から見てあまりにもアウトー!な物も多かったのでミィフィフィルターにかけた上での質問となります」
「ミィフィフィルターがどんなものか知らないが、妥当ではあるな。私も質問をちょっと見させてもらったが、いくらなんでもってのも多かったしな」
「そうなの?」
「そうなんですよねーこれが、ではどこからいきましょうかな、
イェルチェ
さんの出身はどちらですか?」
「定番の質問ね。槍殻都市グレンダン、です。でも生まれ故郷は違うんだけどね」
「あれ?そうなの?ちなみにどちら?」
「私が四歳のときに汚染獣に襲われて、子供だけを乗せた放浪バスで逃げたの。だから実は都市の名前は覚えてなくて・・・・・いつ汚染獣に襲われたのか、っていう正確な情報があれば生まれ故郷もわかるんだろうけど・・・・結局調べてないわ。放浪バスは偶然グレンダンに遭遇できて、そこでほとんどの子が孤児院にもらわれていったんだけど、私だけはぐれちゃって」
「・・・・ちょっとハードなこと聞いちゃってごめんね」
「ううん気にしてないわ」
「それではぐれたっていうのは・・・?」
「放浪バスがグレンダンに入ってすぐに汚染獣が接近してきたの。そのとき私・・・・だけじゃないんだけどほかの子たちもほら、汚染獣に都市を襲われて逃げてきた子たちでしょ?汚染獣接近にパニックになって散り散りに逃げ出しちゃったの。すでに孤児院の入院が決まってたりした子はシェルターに避難できたりしたみたいなんだけど・・・・・私はパニックになって逃げ出した方」
「そうだったんだ・・・・・」
「といってもグレンダンでは汚染獣が都市内部に入ってくるなんて本当に低い確率だから、全然問題なかったんだけどね。その後半年ぐらいグレンダンの低所得者が集まる住居区で一人で震えながら暮らしてたかな。汚染獣接近のサイレンが鳴る度に、マンホールの中とかに隠れて」
「ホームレスか・・・・・ヨルテムじゃ生活保護や何かしら保障があったからそういうのは少なかったな」
「そうね。レギオスじゃ人も資源の一つだもんね。そういう環境作りもヨルテムはだいぶしっかりしてたからホームレスってのはなかったね。・・・・それでその後は・・・?」
「うん、生きるにはどうしても食べ物が必要でしょ。そのー・・・このあたりは掲載するときカットして欲しいんだけど、ずっと盗んだり施しをもらったりしながら生きてたの。それでも食べ物が無いときは、空き巣まがいのこともしてて、そのときにお養父さまに会ったの」
「おっけーここはカットしとく。拾われたってことに修正しとくけどそれでいいかな?」
「うんそれで。本当は空いてると思って入って冷蔵庫で食べ物をあさってたら、殺剄をしてたお養父さまに見つかったんだけど」
「サッケイ?」
「剄を外部に放出しないで体内に留めることだ。要するに気配を消すってやつだな」
「ふむふむ」
「お養父さまもびっくりよね、いきなり子供が部屋に入ってきて冷蔵庫で食べ物あさりだしたりなんてしたんだから。今でも覚えてる。あの時お養父さまは『何をしたい』って聞いてくださったの。私はそれに『生きたい』って応えたの」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「お養父さまがそのとき何を思ったのかわからないけど、その日から私はお養父さまの娘になったの。基本的な生活やマナー、常識、そういったものは全部お養父さまから教わって、それから初等教育学校に通いはじめたって感じかしら」
「そっかー・・・・なんかグレンダンって武芸者の都市ってことでみんな裕福なイメージがあったけどぜんぜん違うんだね」
「裕福なところは裕福よ?でも年がら年中戦ってるし、武門はいっぱいあるし、グレンダン自体は貧乏なんじゃないかなぁ」
「そうなんだ・・・・ちょっと出身地、っていう内容的にはハードになりすぎちゃったかな。カットしてって言われたところはカットするから任せて!あとは・・・どうしよなにか希望ある?」
「うーん、私としては事実だから別に今言ったことで掲載されるのは構わないんだけど、同情されたいわけじゃないから、できればお養父さまに拾われた孤児、ぐらいに納めてくれないかな」
「わかった、そうするね・・・・・・よしそれじゃ次いこう次!!
イェル
もメイっちに負けず劣らずの体型よね・・・・・・一番多かったスリーサイズは!?」
「す、スリーサイズ!?だめよそれは秘密!」
「ちぇっ、まぁ男子から一番多かった質問だからなーでも実は私も気になってるのよね。ナッキ!取り縄で捕まえられない?教えてくれないなら計っちゃおう作戦!」
「・・・・本気になった
イェル
の方が早いから無理だ諦めろ。それに私も女性のスリーサイズを誰もが目につく雑誌に載せるのは、反対だな。まぁ確かに女子同士個人的に気になるのはあるが、それはそれ、だろう」
「ほら!ナルキは私の味方よ!だからスリーサイズは秘密ね!」
「ざーんねん、ま、仕方ないっと次の質問いきまーーす。
イェルチェ
さんの一日はどんな感じなんでしょう?」
「一日?うーん朝起きて、ご飯を食べて、レウ・・・・あ、同じ寮の人ね__が髪を結んでくれて・・・・・授業を受けるでしょ?それから小隊の訓練に参加して、それで寮に帰って終り、かな」
「バイトはしてないのか?」
「あ、うん。グレンダンでそれなりの成績残して報奨金もらってたし、お養父さまが短期留学の学費を払ってくださってるから」
「報奨金?」
「えーっとそんなに皆知りたいわけじゃないと思うんだけど・・・・・要するに汚染獣との戦闘ね。退治したらその分報奨金が出るって感じ」
「なるほど・・・・・ってことは待て、
イェル
はそんなに汚染獣と戦った経験があるのか?」
「うん。幼生体だけじゃなくて雄性雌性それに老成体ともそれなりに」
「・・・・そんな経験を持ってる武芸者、普通は外になんか絶対に出さないのに・・・・驚いたな」
「グレンダンはそういうところだから」
「ふぅん・・・・・じゃわりとお金には余裕があるって感じなんだ」
「勉学に集中できる程度には、って感じかな。私成績はあんまりよくないし」
「おっと成績のことについても質問あったんだった、
イェル
は張り出される上位二十名には入ってなかったみたいだけど、ちなみにどのくらい?」
「う、うーん赤点ぎりぎり・・・・」
「そうなのか?」
「勉強は・・・・その得意じゃなくて・・・・」
「戦場を舞う白き華に意外な弱点発見!これはトップ成績の男子共からすれば勉強を教えてあげるっていう口実が出来たようなもんね!ちなみに得意な科目はある?」
「うーん・・・・・三角関数とか数字、物理がどっちかといえば得意かなぁ・・・・あっ、でもそれも赤点よりちょっと高いぐらいなんだけどね?」
「ほうほうちなみになんで?」
「汚染獣と戦うとき距離を正確に測れないと困るから」
「うっ、なんて武芸者らしい答え・・・・・・じゃ武芸者らしいってことで、次は武芸の話にいってみよう!
イェル
は武芸者だけど、前の第十七小隊と第五小隊の対抗試合をみる感じ基本的には接近戦が得意なのかな?」
「ううーん、一概には言い難いけど遠距離戦の方が得意かな」
「でもレイとんとは格闘技で挑んでいたよな?それに化錬剄も使えると聞いたぞ」
「武芸者じゃないと正確に教えるのは難しいんだけど、格闘技をつかった近接戦も遠距離戦も両方出来るって感じかな」
「うわっすごっ。ツェルニでもあんまりいないんじゃない?遠近どちらでもいいよなんて人」
「そうだなレイとんも刀や剣でどちらかといえば近接戦闘がメインだろうし、あ、そうか鋼糸か」
「コウシ?なにそれ」
「前に汚染獣の幼生体が襲ってきたときにレイとんがそれを使って迎撃したと聞いてる。細い糸のような武器、なんだよな?」
「ええ。学園都市じゃ都市戦や対抗試合じゃ禁止されてるからあんまり使わないんだけど、私はもともと鋼糸を使った戦闘が主だから」
「ふむ、全然わかんないや」
「とにかく
イェル
は遠近どちらにも苦手がないってことだ」
「つまり強いってことね!ま、武芸の話はこのぐらいにしてこの辺から本編に入りましょうか」
「今までのはなんだったんだ・・・・?」
「何言ってるのよナッキ、今までのは当たり障りないごく普通の質問、ここからはちょっと内面に踏み込んでみたいなーなんてね。と、いうわけで、まずは
イェル
の所属している第五小隊!ゴルネオ先輩とシャンテ先輩についてどう思います?」
「え?とってもいいコンビだと思うけど・・・・シャンテは剄の量を生かした戦い方が得意だし、それをゴルもわかって小隊にかなり上手く組み込んでると思う。他の隊じゃシャンテをあそこまで上手く作戦に組み込めないんじゃないかなぁ。ヴァンゼ武芸科長でもシャンテを使うって意味では相当難しいと思うよ。シャンテの性格的な部分もあるしね。そういう意味でずっとコンビを組んできただけのことはあるし、私もあの二人の間に入って戦うのは難しいかな。そうね、できて援護ぐらい。それにゴルの指揮は__」
「違う違うちがーう!!武芸者ならともかくとして一般学生が聞きたいのはそこじゃない!」
「えっじゃあ何を・・・?」
「はぁ・・・・」
「こらナッキ!ため息をつかない!!いい
イェル
!私たちが聞きたいのはゴルネオ先輩とシャンテ先輩は付き合ってるのかどうかってことなのよ!」
「あっ、えっ、そういう意味での二人についてだったの!?ええ・・・・難しいなぁ・・・・付き合ってるようには、見えないというか、コンビって感じで恋人同士って感じじゃない、かなぁ」
「ふむふむ、小隊員から見てあんまり恋人同士の関係には見えないわけだ」
「でも距離は近いなって思う、かな?ほらシャンテっていつもゴルの肩に乗ってるじゃない?」
「じゃ付き合ってると思う?」
「うーん・・・思わない、かなぁ・・・・というか、シャンテは恋人のつもりなんじゃないかなって思うときは、たまにあるかも」
「あー・・・・前にシャンテ先輩をインタビューしたんですけど確かに・・・」
「ただゴルはそういうつもりはないかも」
「確かに。ま、この二人は結局結論はでないですが、答えはもう出てるようなものって感じですね。さてでは一番多かった質問行きましょう。特に男子諸君からの熱烈な質問!ずばり!
イェル
の好みの男性は?」
「それが一番多かったの!?」
「対抗試合以来、結構人気なの、自覚ないの?」
「ええ・・・っとそのよく人の視線を感じるのは自覚してたけど、その、殺意がないからいいかなって」
「どこまでも武芸者か!!っていうか武芸者って皆鈍感なの!?どうなのナッキ!」
「しゃ、シャーニッド先輩は少なくともそういう男女の心の機微には鋭いぞ!うん!」
「じゃあグレンダンじゃ
イェル
のファンクラブとかなかったわけ!?」
「な、ないよ!だって武芸者っていってもたくさんいるし、一般人が武芸者の戦いを見るなんて、それこそ武芸大会ぐらいだし、それに強い武芸者がいたら実力でもって越える対象、だし」
「これはもしかしてゴルネオ先輩も含めてグレンダン出身者が全員鈍感なのでは?」
「うむその可能性はあるな」
「ま、いいや。とにかくツェルニにはすでに
イェルチェ
・ハーデンファンクラブなるものが存在すること、お忘れなきよう!そんなファンクラブから好きな異性のタイプは?と質問が来てるわけです、いかがなんですか!?」
「ええっと、好きな異性のタイプ・・・・うう・・・・ファザコンじゃないけど、お養父さまみたいに強い、人に憧れる、か、なぁ」
「おおっとこれは一般教養科には厳しい発言!」
「強いっていっても純粋に武芸だけじゃなくてもね、心の強さとか色々あるでしょう?」
「でも
イェル
は武芸でも強い人が好きなんでしょ?」
「うっ・・・・うん・・・・まぁやっぱり自分の技量より上の人は憧れるし・・・・」
「じゃ容姿とかは?」
「か、かっこいい人」
「もー適当に答えてるでしょ
イェル
!そんなんじゃだめよ真面目なインタビューなんだから!ほら外見的特長!髪は長いほうが好き?それとも短い方?」
「ううっ、な、長い方・・・」
「ほう、絞られますなぁ。じゃあ背は?」
「高い、方。自分よりね」
「ふむふむ性格は優しい方がいい?それとも亭主関白俺についてこい!って感じのほうがいい?」
「ええっと・・・・・」
「ふむ」
「何も言ってないよ?」
「ちょーっと、わかっちゃったかも」
「え?」
「何がだミィ」
「
イェル
ってさ、今好きな人いるでしょ!?」
「ええええ!?」
「私の質問に考える間の取り方、自分の好きな人がどうか思い浮かべてるって女の勘が告げてるのよ!さぁ
イェル
!さっさと白状しちゃいなさい!そんなに顔真っ赤にさせておいて好きな人がいないなんて今更言わせないんだから!」
「応援するから話してみたらどうだ?」
「ちょっとナルキまで!!」
「そうよナッキもっと言ってやんなさい!!さぁ白状するまで尋問は続くわよ〜!」
「尋問!?これインタビューじゃなかったの!?」
「じゃあグレンダンとツェルニ!どっちの人?」
「ぐ、グレンダンだよ!だからみんなの知らない人!」
「なんだじゃあレイとんじゃないんだな」
「そ、そう!皆の知らない人だし、多分皆と会うこともない人だから!!ね!この質問やめよう?」
「えー・・・・・それでも質問なんていっぱいあるんだよ?その人とはどう出会ったの?今はどんな関係なの?」
「そうだな、相手のことを知らなくてもある程度アドバイスは出来るさぁ
イェル
、吐かないとこの時間は終らないぞ?」
「ナルキもちょっと楽しそうにしないでよ!もう!そ、その人は私の、その、先生っていうか、うん武芸の先生」
「えっじゃあ結構歳の差あったり?」
「グレンダンの武芸者は20代ぐらいで師範代になる人も多いから・・・」
「そっか、レイとんだってあんなに強いんだもんね。先生だから一概に歳の差があるとはいえないっと・・・」
「でも先生か・・・・・始まりは憧れか何かか?」
「う、うん、そんな感じかなぁ・・・。でも一目惚れもちょっとある、かも」
「ほほーう、でもまだ付き合ってはない、って感じ?」
「う、うん」
「おっツェルニの男子諸君に希望が見えてきたぞ、これは短期留学中に誰が
イェル
を落とすか、それとも落とせずに終るか!だね!ますます楽しくなってきた!」
「それはミィだけじゃないのか?」
「何言ってんの!読者も望んでるのよ!こういう展開!」
「も、もうそろそろいいかな?そろそろ小隊の訓練の時間が・・・・」
「あっもうそんな時間!?うっそー・・・・まだ聞きたいことあったのに、ううん仕方ないありがとね
イェル
。インタビュー受けてくれる小隊員少なかったから困ってたのよね。記事、できたら一冊持ってくるから!」
「
イェル
がそろそろってことは私もだな。じゃあまたなミィ」
「うん二人とも頑張ってね〜!」
後日。
「
イェル
、ちょっといいか」
第五小隊の訓練が終り、皆がロッカールームのベンチに腰掛けて休憩するなりシャワーを浴びに行くなり、それぞれの時間を過ごしていたときだった。ゴルネオが妙な表情をして、
イェルチェ
の隣に座る。
「その、だな」
「どうしたのゴル?なんか言いにくそうね。シャンテの関係?」
「いやお前のことだ。これを、見たか?」
「これ?・・・・・・・待って読んだのゴル」
ゴルネオはすっと視線を逸らす。
イェル
の手にあったのは号外週刊ルックン、そして開かれているページは以前ミィフィから友人の頼みということで受けた
イェル
のインタビューがちょうど載っているページだった。
「ゴルはこういうの興味ないと思ってたのに・・・・!」
「いや・・・・興味はない。だが今朝シャンテが『
イェル
が載ってるぞ!』と持ってきてだな」
「読んだのね?最後まで読んだのね?」
レイフォンもゴルネオもこの類の記事には興味がないだろうと思って、インタビューを受けたつもりだった。好きな人についても、意味を理解できる二人が読まないなら、結局
イェルチェ
の好きな相手は誰なのかわからないままになる、そう
イェルチェ
は思っていたのだ。だが甘かった。そして同時にミィフィとレイフォンが仲が良いことを思い出して、前回のインタビューの内容を直接レイフォンに聞きに行く可能性に、思い当たってしまったのである。
イェルチェ
は頬を真っ赤に染めて、雑誌を握りつぶす。内力系活剄で上がった圧力で、雑誌はあっけなくつぶれ折りたたまれてしまった。
「いや、俺はだな、
イェル
が姉になるのは決して嫌なわけではなくてだな」
「飛躍しすぎよ!?!」
イェルチェ
はゴルネオの言葉に悲鳴を上げる。もう耳まで真っ赤になってゴルネオの肩をつかんで前後に揺さぶった。
「お願い忘れて、見なかったことにして、なかったことにしてお願い」
「俺はあまり兄さんとは上手くやれてなかったが、兄さんは
イェル
のことをそれなりに気に入っていると思う」
ああ、頭が熱い。熱にあてられてふらついた
イェルチェ
は、雑誌を手放し、ベンチにへたり込む。
手放された雑誌は、床に落ちてぱさりと開く。そのページはインタビューの最後の最後、編集者の一言が載っているページだった。「男子諸君、まだチャンスはある!強くなってアタックするのみ!」となんとも無責任な一言が書かれているのだった。
号外週刊ルックンのインタビューが学生の間に広まってから、しばらくの間。
イェルチェ
に決闘を申し込む武芸科の男子が絶えなかったという。だがそれを
イェルチェ
がことごとく返り討ちにして、結局、
イェルチェ
の好いている相手は誰なのか、レイフォンとゴルネオを除いて知る者はいないのだった。
20161001